【書評】『売上2億円の会社を10億円にする方法』 五十棲剛史
どうすれば安定して会社の売上を上げ続けられるのか?
経営者にとってそれは永遠の課題です。
本書は株式会社船井総合研究所の執行役員であり、経営コンサルタントの五十棲剛史(いそずみたけし)さんが書いたものです。
五十棲さんの経営コンサルは「イソズミ・マジック」と呼ばれる事もあり、数々の会社を成長させてきました。
特に『売上3億円の壁』に悩む経営者は多いそうです。そこから売上10億円に達する為には、今までのやり方ではなく、仕組みを大きく変えなければいけません。
その仕組みを本書では分かりやすく書かれています。
経営者は勿論の事、サラリーマンであれば、会社がどういう風に売上を上げていくべきなのか知っておいて損はありません。
人気経営コンサルタントが、普段どういう事を考えて売上を安定して上げようとしているのか。必見です。1500円では安すぎる本です。
売上2億円の会社を10億円にする方法 業績アップの「設計図」、教えます。
- 作者: 五十棲剛史
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2005/03/11
- メディア: 単行本
- 購入: 8人 クリック: 71回
- この商品を含むブログ (14件) を見る
最初に結論、10億円企業になるためのエッセンスを言い切ってしまいましょう。
企業が成長する過程とその成長に必要な条件は、業種を問わず、驚くほど似通っています。つまり、扱う商品やサービスが何であれ、企業活動とは自社とお客様のコミュニケーションの集合なのだと言い換えることができますし、そうしたコミュニケーションを担い、やりとりをしているのは社員とお客様。つまり、企業活動とはどこまで行っても私たち人間が考え、動くものであり、売上や利益といった企業活動の成果もその結果にすぎません。
であればこそ、どんな業種であっても「経営=マーケティング+マネジメント」という営みには共通して有効な「やり方」があるのです。
経営=マーケティング(どういう仕組みで、販売していくか)+マネジメント(どういう仕組みで、社員のモチベーションを保ちながら上手く実践できるか)という事だと私は解釈していますが、その有効なやり方と言うのは、売上が2億円の会社と、10億円を目指す会社とでは、異なるのです。
売上が2億円の会社が10億円になる為には、やり方を変える必要があるのだと五十棲さんは言います。
一般的な社員は、平均すれば社長の30%くらいしか仕事ができません。でも、それでOKなのです。30%も仕事ができるようになってくれたら、十分です。その社員に、今社長がしている仕事をやってもらうのです。
聞いたことがありますが、社長が忙しくしている(特に営業など売上に直接関わる部分で)会社というのは、危ないそうです。理由は社長がもし倒れたら、売上が一気になくなってしまうからです。
社長と言うのは平均の人より能力が高い事がほとんどだと思います。だからこそ売上が上げられる人であることが多いのですが、一人ですることには限界があり、売上の最大値も限度があります。
だからこそ、誰でも売れるような仕組みを作ってしまい、社長の30%の仕事力でも営業が出来るようにすればいいのです。
例えば、社長が営業で契約が取りやすい話の流れや、資料などをあらかじめ用意しておき、それをマニュアルとして用意しておけば、社員は格段に契約が取りやすくなります。
10億円企業のマーケティングとは?
1.商品作り
2.店舗作り(不要なケースもあり)
3.集客
4.営業
5.実制作
6.アフターフォロー/クレーム処理
これから作ろうとしているマーケティングのモデルをひと言で言うなら、これまで社長がやっていたマーケティング、あるいは営業の仕組みを複数の担当で動けるようなモデルにする、ということになります。
これは全てマーケティングには必要な項目です。優秀な社長は、これを全て一人でやっていると言う事になりますが、分業し、誰でも出来るようにマニュアル化する事で、より多くの数をこなせるようになります。
営業の話では、色々な会社の話を聞いていると、教育もマニュアルもなく飛び込みで営業をさせる…と言う会社もあるようです。それでは成果が上がりにくいのは当然ですよね。集客は会社が行い、営業のみ社員に行って貰うなどの方法もあります。その方が社員の負担も少ないです。
10億円企業のマネジメント設計とは?
1.採用設計
2.教育設計
3.評価設計
4.管理設計
5.理念設計
2億円企業の経営者の多くは、社員をどう育てるか、どうマネジメントしていくか、という問題については無関心です。今までは自分が現場を切り盛りしていればよく、そんなことに気を回している余裕も必要もなかったでしょうから、それも当然のことだったのでしょう。社員がすぐに辞めてしまうような会社であったとしても、実質的には自分だけがフル開店していれば経営は成り立っていたからです。
中小企業にはいい人材が入ってくるのは珍しいです。なので大切なのは、人財は育てると言う事です。それも仕組みによって可能になります。
私は500名規模の中小企業と、10名規模のベンチャー企業の両方を経験した事がありますが、中小企業の方は誰でも仕事が出来るようなマニュアルが多かったのを覚えています。なので、例えアルバイトでも1ヶ月後には仕事が十分に出来るようになっていました。
逆にベンチャー企業の方は、人数も少ないのでマニュアルがほとんどない場合も多く、社長の支持で全てが行われている場合も多いです。採用後は放置…と言う事で、教育設計すら十分になく、新人に無茶な指導をした結果、次々と退職したということも…。
10億円企業を目指すのであれば、せっかく採用した人財を活用する為にも、マネジメントの仕組みが必要だと言うことですね。
3ヶ月で1人前になるプログラムをつくり、導入することです。
また、私が働いていた中小企業では、半年で1人前になるプログラムが作られていました。離職率の高い飲食業界でしたが、70名ほどの新人が、半年までほぼ全員残っていたのを覚えています。今思えば、しっかりとしたプログラムが組まれていたのですね。(ちなみに年商は100億円以上でした。)
10億円企業になる為には、必要な仕組み作りが沢山あります。どうすれば、今より良く出来るのか・・・。そのヒントが満載のビジネス本です。マーケティングとマネジメントに関する事なので、大枠ではこれからも色褪せる事はない内容でしょう。